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【オキシトシン情報局】オキシトシンと円滑な対人関係の関わりについて

監修:まさのメディカルクリニック 冨田雅乃

オキシトシンの投与と円滑な対人関係

息子が初めてカウンセリングを受けた昌子先生という方が、自閉症についてお話された一つのことが自閉症の行動とオキシトシンの関係を理解する上でヒントになったお話です。

昌子先生のお話だと自閉症の方は望遠鏡で覗いてるみたいに視野が狭い。つまり見えないのではなく視野の一部しか見ようとしないというお話を聞きました。

例えばミニカーを渡すとミニカーをひっくり返しタイヤの一つを指で回して遊ぶ光景は良く見られる自閉症の子供の遊び方です。彼らはミニカーの1本のタイヤだけに興味があり、それを回して遊んでいるわけです。他の部分は見えてないほど集中してるのと同時に他の部分には興味がないんです。

その他、名前を呼んでも振り向かない、目を合わせない、などの行動は、彼らの興味の視野の中に周囲の人間が入ってないのではないかとおもいます。

このような方にオキシトシンを投与すると、個人差は勿論ありますが、ミニカーを普通に転がしながらの遊び方に変わっていったり、呼び掛けると振り向いて目を合わせてくれたりという変化が現れます。 それは、興味の視野が広がってミニカーを全体的に視野の中にとらえることができるようになったことや、周囲の人の存在に興味を持ち始め視野の範囲が広がってきたのだとおもいます。

最近オキシトシン補充療法をはじめてから食べ物の好き嫌いが減ってきたというお話を良く聞きます。これも周囲の人に興味を持ち始めたこととその人が美味しく食べているという雰囲気や行動をとらえることが可能になり、自分も食べてみたいと興味を持った結果ではないかとかんがえます。

このようにオキシトシンにより興味の視野が広がり、次第に情緒的な発達が伴ってくると、従来言われてる「愛情ホルモン」「信頼ホルモンとしての効果が現れてくるのだと考える次第です。

当然、オキシトシン投与により効果は徐々に現れてきます。途中経過で興味だけで突っ走る時期に周囲の人々とのトラブルが発生しないわけがありません。 この時期が一番周囲が振り回される大変な時期です。

親御さんもツイ悲観的に考えがちになりオキシトシンを中止してしまう方もいらっしゃいます。 私も悩んだ時期がありました。しかし落ち着いて息子の行動を分析してみると、興味の視野だけが広がり、まだ情緒や社会性が発育途上であることによることに気が付きました。 その後、徐々に落ち着き社会性が出てきて現在かなり落ち着いてます。

オキシトシンが社会性や情緒に及ぼす効果はまだまだ無限の可能性を秘めています。 最近ではアルコールや薬物依存の救世主的な効果もあるのではないかという海外の論文もあります。無限の可能性のあるホルモンに今後を期待しましょう。

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